久しぶりの絵本案内です。
もうすぐ6月ですので、梅雨の季節に読みたくなる1冊「あめの ひの おるすばん」をご紹介します。
至光社から出版された絵本シリーズの最初の1冊。
編集者の武市八十雄さんとともに作ったこのシリーズはどれも印象的な絵本です。
パっとページをめくる。
すると、ハッとする色、構図、言葉が目に飛び込んできて
心に感じるものがある。
「あめのひのおるすばん」の1ページ。
なんともいえない緑、そして大きな風船。
おるすばんの不安な気持ち、お母さんを探している気持ちが伝わってきます。
私はこのページがとても好き。
突然現れる風船と色、心をつかみとられます。
そして曇った窓に描く姿。
にじみを使って、水滴の滴り落ちる描写がすばらしく美しい場面です。
すっかり忘れてしまったこの遊び。
子どもの頃はよく窓に絵を描いたっけ・・と思いだします。
開くたびに美しい世界。
子どもがひとりで過ごす想像の時間が感じられる1冊です。
そして、この絵本シリーズを見ると、思いだすちひろさんの言葉。
私は私の絵本のなかで、
いまの日本から失われたいろいろなやさしさや、
美しさを描こうと思っています。
それをこどもたちに送るのが私の生きがいです。
どうぞ梅雨の日にお子さんと読んでみてください。
そしてお留守番についてお話してみると楽しいかもしれません。
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いわさきちひろ美術館のホームページの紹介されているこちらもあわせてどうぞ。
「わたしのちひろ」
ちひろの絵と人生に思いを寄せる人々の言葉を紹介しているページです。
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武市八十雄氏 至光社編集者